遺骨のカビ問題

遺骨のカビ問題

ある粉骨パウダーサービスのご依頼主からのご相談内容

1年ほどご自宅にて骨壷(火葬骨)のまま手元供養していたが、放って置くと遺骨にカビが発生すると聞いたので早めに粉骨した上で手元供養したい。
このようなご相談の他にも遺骨にカビが付着していたなど耳にしますがホントに遺骨にカビが発生するものなのでしょうか、、、、?
先ずは誰もが知るカビが発生する環境、特性を知らなければカビの話が進みませんよね、、、
あっ、そう言えばカビ菌をシャーレに入れて培養させる実験を小学生の理科の授業で研究したような気がするなぁ。
かつては給食の主食はパンだったのでキメの粗いパンを毎日食べていた記憶が蘇り、なかには食べ残したパンを机の奥に押し込んだまま何日も熟成させて抹茶のかたまりのようになったパンを発見して大騒ぎした事も給食パンカビあるあるですよね〜

カビの特性

温度

人が嫌う温度、寒すぎたり暑すぎたりする温度はカビも発生しにくく、人が快適に過ごせる温度はカビも好む環境で、まさに人はカビと共存していると言えそうです。

湿度
一般的なカビは湿度70〜80%以上で発育するようなので、カビが最も好む季節は梅雨時期なのです。
養分
人も生きるために栄養分が不可欠ですが、カビもまた繁殖するには栄養素が必要で、空気中のチリやホコリにも含まれる有機物(タンパク質や炭水化物など)
この3つの条件が揃えばカビは発生しやすくなるワケですが、火葬を済ませた遺骨(焼骨)は陶器製の骨壷に収められ、その後お墓に納骨するかご自宅にて手元供養というカタチで保管されるのが一般的です。

遺骨のカビ

お墓に納骨の場合も自宅にて手元供養管理でも温度、そして湿度もカビにとっては好環境ですね。
しかし、3つ目の条件である栄養素は皆無です。
1,000度を超える火葬であらゆる菌は死滅し、無機質状態の遺骨にカビが発生することは有り得ません。
ではなぜカビ目撃情報があるのか?
遺骨を見る機会とは火葬後に二人一組で行う「骨上げ」とも呼ばれる意味不明な儀式のみで、骨壷に収めた後にフタを開けて遺骨を目にするケースは通常ありません。
考えられることは火葬直後に目にする遺骨の変色ではないでしょうか、焼骨は全てが白い骨色ではなく、炭のような黒、他にも黄色や緑、赤みがかったピンクもあります。
棺の中には生花以外は制限があって一緒に入れられませんが、例えば歯の詰め物、手術時の体内にある金具、まれに棺の止め金具、火葬炉のステンレスなどの燃焼反応により遺骨に付着したり、変色してしまい結果的にお餅に生えたカビのようにピンクや緑の色と同じような色が焼骨に出る現象と考えられます。
〈まとめ〉
焼骨には殆どカビが発生することはなく、火葬時に遺骨に変色した部分を勝手にカビだと認識しているだけで、ただの勘違い、見間違いなのです。
※但し、骨壷は完全に真空状態とは言えないため、空気中のチリなどが骨壷内に侵入し、微量の栄養素からカビが発生することは全く無いとは言い切れません。