清めの塩(禊祓い)

お葬式など、葬儀に参列すると帰り際のテーブルに「清め」としてお塩、削りぶし、お神酒、洗米などが必ず用意されていますよね。

用意されている「お清め」は実は地域差や宗教宗派によって異なるようです。

「清める」とは・・・

清める/浄める けがれや汚れを除きとって清らかにすること、とあります。

ご遺体は不浄!?実は仏教の考え方では死を穢れとすることはなく、特に浄土真宗では穢れを落とす思想は皆無なため、塩を用いて清めることはしません。

むしろ仏教などの外来宗教の影響ではなく、日本古来の新道や道祖神に、塩を用いて「清める」ことの起源があるようです。

※無論、新道でもご遺体が不浄とする考えはなく、例えば死因が病であれば伝染病を恐れる、死因が不明であれば祟を恐れる、このように「死」を恐れ「死」に直面した事を穢と捉えたとも考えられます。

禊祓《みそぎばらえ(い)》

日本神話を伝承する古事記の一節に、イザナミノミコトが黄泉の国から蘇り、海に浸かり禊(みそぎ)して、その罪穢れ(死の国のけがれ)を祓われ、神々が産まれた、とあります。

この禊こそ現代の「清め塩」の起源だとする説も存在します。

人類と塩の関係

年齢や体重にもよりますが、成人の体内塩分量は平均200gだそうです。汗が塩っぱいのも体内に塩分が含まれている証拠です。

人には塩が必要不可欠で塩なしでは生きられないと言っても過言ではなく、食べ物の殺菌・消化、また栄養吸収を促すチカラが塩にあはるのです。

あの胡散臭い事務局長がいる世界保健機関(WHO)では1日5gの塩分摂取量の世界基準を目標にすると発表していますが、なんと日本人の平均塩分摂取量は男性で11.3g 女性で9.6g(2012年調べ)と大幅にオーバーしているようです。

その要因もあり、塩分控えめ、減塩ブームではありますが、何せ日本は味噌と醤油文化を脈々と受け継いでいるブレない歴史があるため、塩分摂取量を今の半分に制限する事は至難の業だと思いませんか、、、

食事を楽しむことは塩を楽しんでいるとも言えるので、例えば病院食は美味しくない!と耳にすることが多い理由は味つけが薄いのが大半の理由ではないでしょうか、、、

塩分摂取量を控えることは大切ですが、摂取した塩分を効率よく排出することが可能なカリウム、カルシウム、マグネシウムを含む食材を摂れば摂取した塩分を効率よく排出する(排塩)を促し、中には高血圧を防ぐ食材もあるようなので参考にしたいものですね〜。

このように人には欠かすことのできない塩は日本だけではありません。例えばサラダ、サラサ、サラミソーセージ、ソルジャー(兵士)、そして何とサラリーマンのサラリーもまた「塩」が由来するのだとか、、、

塩には抗菌、防腐作用、脱水効果、そして浄化作用など、優れた効力がある反面、人は塩分を摂り過ぎると健康に害があります。また構造物や農作物に悪影響を及ぼす塩害など一長一短の要素を併せ持つ物質と言えます。

《まとめ》

清めに塩を用いる起源は日本神話の海水で身を清めた禊が起源との説があり、陸地などで海水の代わりに塩を用いたとも考えられます。

新道由来の清め塩が仏式の葬儀でも習慣化している理由は「神仏習合」日本人は宗教に関して寛容であるから、と言えそうです。

また、人類にとって塩分が少なくても摂取量が多すぎても人体に害を及ぼす諸刃の剣の要素を持つ魔法の物質と言えます。