墓石みかげ石の重さ

お墓の工事を手がける職人さんたちは結構な確率で腰痛持ちが多いんです。

何故なら・・・
石は重いから・・・

無論、どう頑張っても人の力では持ち上げられない石材は専用重機を使って吊り上げますが、人の力でも何とか持ち上げ、運搬可能なビミョーな仕事の際にギクッ!とやっちゃう魔の瞬間が潜んでいるのです。

例えば、地下式の一般的なお墓のカロート(納骨室)の入口にある蓋の役割をする拝石(はいせき)と呼ばれる石材は、石種やタイプにより若干の違いはありますが、平均重量は約50kgの重さとなります。

               古いタイプの地下式納骨室のフタ石

使い勝手はお世辞にもよくはない拝石、土葬文化から現在で火葬式がほとんどですが、土葬の名残りなのか墓石の下に納骨スペースを設けたため、どこかの石屋さんがこんな重い石をフタ代わりに置いたのが始まりなのでしょう。写真のフタ石もその上に乗る経机香炉も花瓶も石材製でかなり重いのです。

いったい石ってどれくらい重いのでしょう!?

単に石と言っても墓石で使用される御影石と呼ばれる石から昔、お風呂場にかかとの角質落とし用として石鹸と一緒に置いてあった軽石等など様々です。

石(岩石)を大きく分類すると火成岩、堆積岩、変成岩の3種類となります。

火成岩
安山岩や花崗岩などマグマが冷え固まったもの

堆積岩
砂岩、泥岩など河川や海底で砂や泥が堆積して長い年月を経て固まったもの

変成岩
火成岩や堆積岩が温度や圧力、鉱物などの融合などの影響で変化したもの

数多ある石材の中でも、硬く耐久性があり、風化しにくい強さのある石こそが墓石に適しています。
その条件を満たす石材の大半が火成岩の中でも深成岩(マグマが地下深い場所でゆっくり冷やされたもの)に分類される花崗岩で密度(質量)も大きく、即ち重いのです。

ちなみに「御影石」とは上記の岩石の種類の一つではなく、六甲山地区から良質の花崗岩が採掘されていた時代、切り出した多くの花崗岩を御影の港から出荷していたことから「御影石」と呼ばれ有名になり、黒御影や白御影など、墓石に適している花崗岩の総称として現在でも幅広く使用されています。

さて、本題の石(一般的に墓石に用いられる花崗岩)の重さについて、水の重さと比較する方法「比重計算」にて、アバウトではありますが最も実感しやすい1リットルの水が入ったペットボトル(比重定義上は1kg)に対して石はどれくらいの重さなのかを算出してみましょう。

《比重計算》
1リットルは1,000cc
1,000立法センチ(10×10×10センチ)
=1kg(比重:1 )

黒い御影石の比重は2.2 〜3.2程度
平均値 2.7とすると
ペットボトルと同じ質量の重さは
×2.7となり、
約2.7kg となる。

石の重さは伝わりましたでしょうか!?

御影石以外の重さの比較(目安)

木(ヒノキ)
0.41kg

ガソリン
0.75kg

ポリエチレン(ポリバケツなどの材質)
0.95kg


1.9kg

レンガ
2.2kg

生コンクリート
2.4kg

ガラス
2.5kg


7.85kg


8.96kg


10.50kg


11.4kg


19.32kg

白金
21.45kg

オスミニウム
22.57kg
(耐久性から万年筆の筆先に合金として使用されている地中深い場所に存在する鉱物らしい)

世の中には石材よりもっともっと重い物質があり、比較すると石はそんなに重くはない錯覚に陥りがちですが、一般的な墓石一式の総重量は約1トン近くあり自動車と比較するなら軽自動車より重く普通乗用車より少し軽い程度で、やはり墓石って重いのです。